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作成: 2025-06-18
作成: 2025-06-18 12:58
ChatGPT vs 会計士、スタートアップ企業価値評価 AI 回答 リアルタイム検証
こんにちは、創義会計法律事務所です。最近ChatGPTをはじめとするAIツールが、スタートアップ企業価値評価に関するアドバイスを提供しています。しかし、実務経験豊富な専門会計士の観点から見ると、AIの回答にはいくつかの物足りない部分があり、これを補完したいと考えています。
ChatGPTの強みは、一般的なバリュエーション理論と方法論を体系的に提示し、様々な評価方式についての包括的な説明を提供し、アクセスしやすい形で情報を整理している点です。ただし、専門家が補完したい部分としては、実際の投資現場での微妙なニュアンスと交渉ポイント、業種別・段階別の特性を反映した具体的な適用方法、そして最新の投資トレンドと市場状況を考慮した現実的なアドバイスがあります。
ChatGPTが提示した理論的枠組みは非常に有用ですが、実際のVCミーティングやM&A交渉では、以下のような実務的な考慮事項がより重要に作用します。ベンチマーキング企業設定時にはAIは一般的な方法論を提示しますが、実際には投資家ごとに好むベンチマーキング方式が異なり、時には創業者が考えもしなかった角度から比較企業を提示するケースも多いです。マルチプル適用時にも理論的な範囲は合っていますが、実際の適用では、チームの経験、市場参入障壁、競合他社の動向など、定性的な要素がマルチプルの決定に大きな影響を与える場合が頻繁にあります。
実務専門家が実際にChatGPTと質疑応答を行った結果、AIは全体的に嘘をつかず、基本的な理論と方法論を正確に提示しました。特に、スコアカード方式、バーカス方式などのバリュエーション方法論とVCが注目する核心要素に関する説明は非常に有用でした。ただし、AIが詳細に説明しようとしたため、一部誤解を招く可能性のある内容もありました。例えば、モバイルアプリサービスのマルチプルを5倍から15倍と提示し、具体的な価格範囲に言及しましたが、これらの数値は参考程度に受け止めるべきです。
AIの回答で特に残念だった部分は、現実的な制約事項に対する考慮でした。例えば、個人事業者の場合、法人事業者とは異なり、株式譲渡ではなく営業譲渡方式で行う必要があるため、M&A手続きがはるかに複雑になる点、そして初期段階のスタートアップの場合、M&Aよりも投資誘致を先に考慮することが現実的である点などは、AIが十分に扱えなかった部分でした。
ChatGPTのようなAIツールは、初期の情報収集と基本概念の整理に非常に役立ちます。ただし、実際の投資誘致やM&Aを行う際には、その分野の専門家の経験と直感が共に必要であると考えられます。
今回の検証を通して、AIの回答の有用性を認めつつも、実務現場の複雑さと変数などを補完できる専門家の役割が依然として重要であることを申し上げたいと思います。AIが提供する基本的なフレームワークの上に、実務経験を重ねることで、より正確で現実的な企業価値評価が可能になると思います。
AIは、誤った意思決定をするほど間違った意見を与えることはありませんでしたが、意思決定に必要な十分な情報を得るためには、専門家の補完的なアドバイスが必要であるというのが、今回の検証の核心的な結論でした。詳細については、以下のYouTubeで整理しました。
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